廣部剛司建築研究所

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三浦半島の先端

城ヶ島の手前に位置する住宅

道路側2層は騒音と振動対策のため、寡黙な表情

内部に坪庭を持ち、空に向かって開く

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玄関より

赤く染色された木壁の向こうに

上階へと誘う階段

メインフロアの位置を示唆する

上がり框は現場にて原寸を起こした形状

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螺旋階段まわり

受け材に<そり>を持たせている

手摺は現場にて曲げたもの

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居間スペースより

海の幸が豊富な地域

調理しながら楽しむ空間は

空に向かって開かれている

テーブルまで一体で造り付けられたDK

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螺旋階段を上がると書斎スペース

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敷地の対岸には祠があり大きな樹木が守っている

その樹木をそばに感じられる視線の設定をしている

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吹抜 見下ろし

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浴室

坪庭に向かって開いている

露天風呂的な開放感と

寝室から庭へと続く開放感の演出

欄間はステンレスにドットで構成された

デザインを施している

天井は桧板

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寝室より玄関見返し

柔らかな陰影をいくつかのエレメントが

浮かび上がらせる

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寝室

建具を閉めることで落ち着いた空間にすることも

また、開いて水廻りを含め領域を拡張することも

可能な空間

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移ろう雲や星空、月を感じて暮らす

快適な熱環境のためにガラスはすべてlow-eペアガラスを用いている

右側にテラスがある

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スケッチ

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高い断熱性を外壁に確保して、その中に柔らかな建築を包み込む。

 おだやかな風の流れる場所だったけれども、敷地の前面にはかなり交通量の多い道路がある。この道路からの騒音と振動をできるだけ遮りたい、というのが最初の設計条件だった。そのため地盤改良を行うと共に、遮音壁として作用する独立壁を道路側に一枚立てて、居住空間との間にバッファーとなる中庭を設けた。ここに植裁をすることで、リビングからは樹木と空を眺め、浴室では露天風呂気分を味わうことができる余白が生まれた。木造架構の外壁側には全体にセルロースファイバーという断熱材を充填している。これは、吹き付けで隙間なく充填する木質系(紙)の断熱材で、断熱性能に優れると同時に高い遮音性もあることから採用された。ここではさらに、外壁に断熱材を挟み込んだ金属板を採用することで、さらに性能を向上させている。
 敷地の騒音対策からスタートしたプランニングは、結果として「守られる外壁」を持つ建築へと繋がることになった。そのプロセスの中で、反比例するように内部のイメージは「柔らかく」したいと思うようになっていった。
 式年遷宮直前の伊勢神宮に行ったことがある。建物のかたちと建築するための技術を永遠に継承していくために20年ごとに建て替えられている伊勢神宮では、遷宮の前後になると新旧二つの社殿が建ち並ぶことになる。年月を経て美しく枯れていく20年目の社殿も素晴らしいが、桧の樹皮を剥かれて強い香りをたてながら、まるで黄金のようなコントラストで深い森に佇む姿は強い印象を残した。
 「守られる外壁」について考えていく中で、剥き出しの木軸加工を柔らかいまま内部空間にあらわしたい、と舵を切っていったのは自然な流れだったが、あとで思うと伊勢での体験も影響していたように感じる。
左官塗りの壁と木の力強さ、それをつなぐスチールの螺旋階段… フェイク(嘘)のない素材で囲まれていて、かつ柔らかい空間。一見、大きな熱負荷を想像させる空に開かれた大きなガラス面には、low-eペアガラスが採用されていて、夏の直射熱を遮り、冬は室内の熱を逃さない方向で作用する。
ここで実現していったのは、周囲に対しての閉じ方と自然環境に対しての開き方を突き詰めていくなかで、徐々に内包されることになった柔らかさだった。

(廣部剛司)


建築概要
名称  :黒箱-向ヶ崎K
所在地 :神奈川県三浦市
主要用途:専用住宅
主体構造:木造
規模  :地上3階
敷地面積: 100.91m2(30.58坪)
建築面積: 40.68m2(12.3坪)
延床面積: 94.25m2(28.6坪)
竣工  :2006年8月

構造設計:エスフォルム/大内彰
施工  :マナ・アソシエイツ