廣部剛司建築研究所

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それは家族の道筋

 人が考えるとき、何かを伝えるとき、用いられる言葉はその人がそれまでに積み重ねてきた読書の蓄積である。インターネット全盛の時代、言葉は至る所から入り込んでくる。ネットで触れる言葉にもリンク(繋がり)から生まれる偶然性という希有な性質があるが、それが儚いのは形として残らないということなのかも知れない。
 この住宅の設計条件のなかで特徴的だったのは膨大な量の本とCDなどを納める必要があったことである。まさしくそれまでの人生で蓄積された膨大な情報。現在は実家にも置いてあったりと分散している今までのライブラリーを一堂に会することが大切な条件としてあげられていた。必要とされる収納量が多いため、生活空間から見えないように専用の書庫を設けてしまうと、かなり諸室を圧迫することが予想された。そこでライブラリーを生活区間の一部として配置できないだろうかと考え続けた。
 LDKや水廻り、就寝するための個室といった一般的に必要な諸室のほかに、ここでもう一つ必要とされたのは茶室だった。将来的に茶道教室が開けるようにというご要望があり、道路側からアクセスしやすい場所に茶室を配置する必要があった。そこで平屋の茶室を道路側に配置した。ゆったりとした敷地を有効に活用するという意味でもこの配置には好都合なことがあった。比較的人通りのある道路側が南になるのだが人びとの視線を適度に遮りながら奥にあるLDKには(茶室が平屋であるため)冬の陽光は射しこむ、という条件を生み出すことになったからだ。そして、茶室とLDKの間には中庭的な外部が生まれ、タイルで仕上げたテラスが屋外生活をうながす。平面的にはLDK部分が斜めの軸線を持っている。この角度も南の方角と正対することと、隣地の集合住宅の階段踊り場から室内が伺えない関係をつくるためにされた選択だ。 LDKとテラスの間はハンガー方式の全開口サッシュを用いることでシームレスに繋がり、内外の境界線を曖昧にしていく。
 家に帰るとき、街や職場でのリズムからプライベートな生活のペースへと、テンポをシフトしていく空間を可能な限り設けたいと常々思っている。だんだんとリタルダンドをかけるようにテンポを落として、心落ち着ける場所へとグラデーションをもたらしていきたいからだ。ここでは玄関を入って家を貫くように抜けていく13mの通路スペースにその役割を担わせている。そして、前述のライブラリーをこの空間に展開しようと試みたのだ。来客は蔵書に興味を惹かれながらリビングへと案内される。時には途中で立ち止まって、文学や音楽の話に花が咲くかも知れない。そして、家族が蓄積した知のカタチは家族の間で共有されていくこととなる。そこで育つ子供達にとっては親との接点であり、膨大な知識の糸口が見えている場で暮らすということになる。
 現在の蔵書もかなりのものだったが、今後増えていく量にもゆとりを持たせるためにライブラリーは2層にわたって展開したいと考えていた。ところが、そのまま吹き抜けの空間をつくると、どうしても2階の個室が狭くなってしまう。そこで、内壁を斜めに倒すことにした。結果、2階の個室は上部に行くほど広いプロポーションの空間を手に入れ、ライブラリーの空間は三角形の特徴的な断面を持つことになった。三角に空間を「閉じる」と力学的にも非常に強固な場が生まれるが、それは内部にいる人間にもある種の強さと象徴性をもたらす。その時、この場所の「強さ」が家族のよりどころとなるのではないかと感じた。この「ライブラリーコリドー」と名付けた場所を介して、それぞれのエリアは微妙な関係性で繋がり(熱的にも土壌蓄熱式の全体暖房が包んでいく)孤立する部屋が生まれない関係をつくることに繋がっている。家族の育てた「情報」を共有するというリアルな場の力に、まるで寄り添うように生まれた建築のありかたである。
 その家族のライブラリーは、その家族が辿ってきた道筋であり、今後も成長を続けていく。ある作家の記念館のようなアーカイブと生きた「住まい」のライブラリーはこれからも生き続けていく、という意味で決定的な違いがあるのだ。カタチある知の空間、その成長を今後も見守っていきたいと思っている。

(廣部剛司)


建築概要
名称  :ライブラリーコリドーのある家
所在地 :愛知県豊田市
主要用途:専用住宅
主体構造:木造
規模  :地上2階
敷地面積: 290.00㎡(87.87坪)
建築面積: 103.42(31.33坪)
延床面積: 166.36(50.41坪)
竣工  : 2012年10月

構造設計:エスフォルム/大内彰
施工  :友八工務店